GIDの悩み

著者:廣田爲佐【暁の空】を読んで感じたこと広めたいこと

恥ずかしながら廣田爲佐さんも著書【暁の空】も存じ上げませんでした。
GIDで悩み知り合った樹咲早姫さんのTwitterで紹介されたのをきっかけに是非とも読んでみたいと書籍を購入しました。

由貴が読んだ、廣田爲佐さんの著書【暁の空】の感想というんでしょうか、感じたことや共感したこと、そして広めたいことをあたしなりに記事にします。

廣田爲佐さんの著書【暁の空】

知ったきっかけ

樹咲早姫さんのTwitterで紹介していました。

もう、このツイートを見た瞬間に光の速さでAmazonで検索し購入していました。
絶対に読みたい、あたし自身の悩みと同じところはあるのか?違うところはどこか?子どものころ、思春期どんな思いで過ごしていたのか?
興味が絶えない知りたい…

書籍について

ホントに残念ながら廣田爲佐さんの著書【暁の空】は絶版本なんです。
ネットで検索してみて絶版本であることを知りました。
それでも欲しかったあたしはAmazonで検索して中古本を購入しました。

他にもメルカリで出品されていたりするので欲しい方は検索してみて下さい。

あたし自身のこと

ちょっとだけあたし自身のことをまずは紹介させて下さい。

あたしは40後半の男性です。
心は女性です。
この年になるまで性同一性障害であることに気づいていませんでした。
いや正確に言うと、性の違和感は子供のころからありました。
けれども、時代は昭和、男は男らしく女は女らしくが当たり前の時代に、その心に蓋をして生きて来ました。

そして樹咲早姫さんに出会い、蓋が外れ気づいた…そんな経緯です。

暁の空を読んで

ネタバレになるので内容についてあまり詳しくは書けませんが、あたしが感じたことを数点書きたいと思います。

小学生のころ

彼は小学校のころ、男女と言われいじめられていたそうで、仕草や言動が男の子みたいだということだけで、クラスのイジメのリーダー格から追いかけられ、女と証明する儀式を受けていた…

あたしは、小学校4年生くらいのころ、仕草や言動遊び相手が女の子が多いということ、大人しく優しい性格で先生の言うことも素直に聞く男の子だったので「いい子ぶりっ子しやがって、女みたいだな」とクラスのイジメのリーダー格に追いかけられ、殴る蹴るの暴力を受けていました。

なぜに、人の仕草や言動遊び相手により執拗にいじめを受けなければならないのでしょうか?
冒頭に記載されていた彼に対するイジメの描写に由貴は自分自身の体験と重ね、身体を震わせ泣いてしまいました。

思春期のころ

中学生に上がる時に、彼は女の象徴であるセーラー服に袖を通さないといけないことに衝撃を受けたそうで、届いたセーラー服を前に呆然としていたそうです。
”なぜか、なぜだかわからないけど、涙が溢れそうになり、俺は必死に堪えた。”

彼の思いがわかる

あたしは、学ランを着るのが嬉しくなくて、新中学1年生向けの制服採寸の日は行かなかった。なんだか行きたくなかった、行ったら学ランを着ないといけない、セーラー服が着たかった。
まあ、結局は一人で制服の店に行って学ランを注文する羽目になったんだけど、なんで学ランが嫌なのかが自分の中で整理することができなかった。

元の身体を取り戻して

彼は、家族の理解もなく一人で性同一性障害と闘ってきたこともあり、メンタルを維持するためのリストカットやオーバードーズといった自傷行為を繰り返しながらも、性同一性障害の診断書をもらい、高校に提出するなど自身で未来を切り開いていった。

年齢を偽って16歳でホルモン治療を開始し、必死にアルバイトをしてお金をため18歳から性適合施術を行い、20歳で元の男性の身体、戸籍を取り戻しました。

人生の苦しみ挫折、喜び、達成感、人間関係などといった長い人生で経験するであろう事柄を彼は20歳という年齢で、あたしの人生経験をきっと超えていると思う。

”悩んでいる間は、光なんでこれっぽっちも見えなくて落胆することも多いかと思います。…辛いことはずっと続きません。…その中でもちょっとした楽しみを見つけられるようになる…いろんな人との出会いを大切にして、生きていきたいなと思っています。”

ほんとね、悩んで悩んで、今も悩んでいるよ。
きっと辛いことはずっとは続かないよね、楽しみを見つけて精いっぱい生きたほうがいいよね。
いま由貴があるのも樹咲早姫さんをはじめ、知り合ったいろんな人に支えられ生きている。
人への感謝を忘れずに楽しく生きたい。

彼の願いを多くの人へ

最後まで一気に読んでしまいました。
共感することがたくさんあり、また、あたしにはなかったけどそれは彼は死ぬほど辛かったんだと思うこともあり。
最後は電車の中で涙で顔がぐちゃぐちゃになってしましました。
おじさんが電車で泣きじゃくってるなんてはたからみたら可笑しいですね。

そして思うのは、SRSで取り戻した自身の性別、そして書き上げた自伝小説。
これから彼の第二の人生が始まるという矢先に、自身で他界してしまった彼。

彼が自らの命を絶たなくてはならなった理由は分かりません、自身が”死ぬという選択肢だけは絶対にダメです”と書いていても、発作的に逝ってしまったのか?
そのところの理由は分からないけど、性同一性障害というものは当事者にしか分からない苦しみ悲しみ、生きることの意味さえ見失う壮絶な人生を負わなければならないという十字架を背負うということ。

だから、彼は、広く性同一性障害を知ってもらいたく、自身の体験や思いを性同一性障害に悩む人、家族が性同一性障害である人、性同一性障害に興味がある人に読んでもらいたく自伝小説を書きあげました。
彼自身が巻末にそのように書いてます。

性同一性障害は千差万別で、十人いれば10通りの悩み苦しみがありそれぞれが大きな十字架を背負い悩んでいます。
当事者でなくても興味を持って理解しようとする人もいれば、理解しようとしない人もいるでしょう。
彼の自伝小説はきっとその人たちの道しるべになるでしょうし、多くの人に読んでもらうことで、彼が書き残した「暁の空」はこれからの新しい社会、ジェンダーレス社会実現のためにきっと役立つはずです。

前述したとおり、残念なのはこの「暁の空」は絶版書となっていて新品では手に入らぬということです。
それでは彼の思いが後世に伝わらない、彼の意志が思いが埋もれてしまう…

彼の意思を広く伝えたいためブログの記事にしましたが、記事だけでは限界があり、やはり絶版となった彼の本をより多くの人に読んでもらいたく、何かあたしにできないか考えている真最中です。

最後に、この自伝小説を世に残してくれた廣田爲佐氏、「暁の空」の出版に尽力していただいた関係者、紹介していただいた樹咲早姫さん全ての人に敬意を表します。